2022年理事長 所信
所 信
公益社団法人 天童青年会議所
第53代理事長
渡部潤一
「僕のパパかっこいい! 僕のパパすごい!」
この言葉は私が青年会議所で初めて委員長の職を預かり、家族との交流例会を開催した時に息子が言ってくれた言葉です。この言葉を聞いて私は本当に嬉しかった記憶があります。いわゆる「JCスイッチ」なるものが押された瞬間でありました。私は2014年に青年会議所に入会し9年目に入ります。これまで様々な出会いや貴重な経験をさせていただきました。皆さんとの出会いは、私のこれからの人生の宝物であり、貴重な経験は、これからの人生の糧となることは間違いないと確信しています。昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で劇的に社会情勢が変化している中、私たち青年にできることは何か。市民、地域に必要なことは何か。と自分に問う時があります。それはこの青年の学び舎と言われる青年会議所で根拠を交えた課題を見出し、議論を交わし、相互の意見を受け止め、信頼できる仲間と共に運動を展開していくことだと考えます。その運動が、やがて能動的な市民を増やし、誰もが笑顔溢れる明るい豊かな社会につながると信じております。
【温故知新】
毎年真夏の天童で開催されてきた全国中学生選抜将棋選手権大会は、中学生棋士の将棋三大大会として認知され、今年で43回目となり中学生棋士の登竜門として年々進化してまいりました。2021年度は新型コロナウイルス感染症を鑑みながら、大会を絶対に中止にさせない強い気持ちのもと、試行錯誤し運営側も参加者も細心の注意を払って大会を開催させていただきました。また、クラウドファンディングの効果もあり、より市民に広く発信できる大会となりました。今年も大会の三本柱である、「青少年の健全育成」「将棋人口の拡大」「地場産業の発展」を理念に、これまで先輩諸氏が創り上げてきた歴史と伝統のある大会であることを再度自覚し、大会の持続可能性をメンバー全員で探求して開催いたします。また、「温故知新」の言葉の通り、これまで紡がれてきた歴史や伝統をメンバー全員で共有して、これからの時代に即した新たな方法を探り当て、より進化した大会を目指します。
【組織の拡充】
県内の各地会員会議所は年々在籍するメンバー数が減少傾向にあり、天童青年会議所の状況も同じことが言えます。より良い事業構築のためには、この青年会議所運動の本質を知り共鳴してもらう同志が必要です。そのためには、在籍するメンバーが青年会議所運動の本質を理解し、魅力を語り、それが市民に波及することで、多くの市民と運動を展開できると考えます。私は2021年度 山形ブロック協議会アカデミー委員会の委員長を務めさせていただきました。県内各地から集うメンバーはこの組織に入会して間もない方々です。そういった方々やこれから仲間になり得る方々にとって、魅力的な組織の要素、共に成長できる環境とは何かを模索し、それを取り入れていかなければ持続可能な団体ではなくなると危惧しております。この組織に入会するメンバーは多種多様です。自分が思っている考えが全て正しいことではありません。そのことに気づき多様性を受け止めることで、自己理解につなげることができます。それがやがて個人の資質向上を図り強靭な組織へとさらに成長してまいります。また、自己の成長のために他を思いやれる気持ちを醸成し、誰一人取り残さない社会の実現に尽力してまいります。そして、メンバーが存分に青年会議所運動に邁進するには、多くの方々のご協力が必要不可欠です。その事実をしっかりと一人ひとりが理解し、より活発に運動できる環境を創造してまいります。
【未来のまちの共創】
天童青年会議所は、昨年15年ぶりとなる山形ブロック大会天童大会を主管させていただきました。新型コロナウイルス感染症対策のため、徹底した感染症予防を行いながらの開催でしたが、メンバー全員で取り組み、地域活性化事業に出店された方々や来場された方々の多くの笑顔の花を咲かせることができたと感じております。しかし、これで終わりではありません。この大会以後、このまちにどのようなインパクトを与え天童市民がどのように変わったかが重要です。天童には「観光」「経済」「歴史」「文化」の観点から見ても魅力ある地域資源が沢山あります。今後はあらゆる手法や手段を利用して、私たちだけでは発見できなかった物事を発掘して発信していくことが持続可能なまちづくりには必要不可欠だと考えます。また、本年天童青年会議所は広域まちづくり協議会の主管LOMとして、4LOM合同例会を開催します。天童の魅力を存分に発揮した事業を通し、各青年会議所メンバーとの絆を深め、運動への意識向上を醸成します。
【公益性のある組織運営】
自法人だけではない市民の益を追及する私たちは、誰もが見ても納得できる透明性のある組織運営が必要です。そのためには、定款及び諸規定に基づいた理事会運営及び公益会計基準に基づいた適正な財務執行及びコンプライアンスを順守しなければなりません。この事柄が事業構築の基本であり、私たちが発信する運動の効果を最大限に発揮することで、関係諸団体からの信頼に結びつき、外部団体からの協力体制を強固にすることに繋げてまいります。
【私たちの運動の発信】
私たちは日々、市民の意識を変革するための運動を行っておりますが、どんなにインパクトを残せる事業でも、その運動を広く発信し、受け取る側の市民により強く、より早く伝播しないと運動の効果や価値も下がってしまうと考えます。様々な手法で発信力を強化し、市民の心に響く事業や情報を提供することが必要です。また、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、デジタル技術を活用した会議が多く取り入れられ、会議を行っている会場の温度感を味わえない部分がありますが、メンバーの貴重な時間を有効に活用する観点では良い手法だと感じています。一方で、直接合って会議するのを否定する訳ではありません。久しぶりに顔を合わせての会議では、気持ちの良い緊張感を感じられたり、言葉の重みを感じられます。大切なことは、デジタル技術の良いところを取り入れながら、人とのつながりを強固にしていき、限りある時間を有効活用するルールに基づいた効率的な会議運営を行ってまいります。
【組織の要】
組織は様々な役割、要素を持つグループ、個人から形成されています。組織を前に進める「営業」のような部署もあれば、徹底的に組織を運営する「事務」のような部署も存在してこそ一つの組織が成り立ちます。私たち青年会議所も同様です。様々な事業を展開できるのも、縁の下の力持ちである事務方が細やかな調整や対外との窓口になっているからです。それぞれの組織の役割を理解し、お互いを尊重し合い、気持ち良く運動を展開してまいります。
また、関係諸団体と協働して、天童市民全員が将棋を誇りになるべく、将棋の魅力を知ってもらい、その魅力を深堀りし、市民にとってさらに誇れる財産として感じていただけるように事業を展開してまいります。そして、山形ブロック協議会が行う運動の最大の発信の場であるブロック大会にも参画し、去年の天童大会の恩送りとして主管LOMに寄り添い、県内各地青年会議所メンバーと交流し、運動への意識を高めてまいります。さらに、設立当初から行われているJC杯球技大会も昨年で50回大会を迎えました。今年も関係諸団体と協働し新たな一歩として最も歴史のある事業を、時代に即した方法で模索し展開していく必要があると考えます。
【むすびに】
「歩のない将棋は負け将棋」
将棋の駒には全てにおいて役割があり、動きも決まっています。歩は一見非力に見えてしまいがちですが、底知れぬ力を持っている駒であります。私たち天童青年会議所も歩のような底知れない力を持っている組織です。個と個が集合体になって地域にとってさらに必要な組織になり、口角を上げて前を向いて、共に運動を展開していきましょう。
私たちの力強い一歩は、このまちの未来を創れます。
人生一度きり。40歳までの限られた青年世代に、自分の住まう生まれ育ったまちのために本気でより良くしていきましょう。私たち青年会議所の綱領として掲げている「明るい豊かな社会」が実現しているのであれば、私たちは歩みを止めているでしょう。なぜ歩み続けなければならないか。そのことを真剣に考えて運動を展開していきましょう。
共に歩んでいきましょう。
私は皆さんの力を信じています。